第63回 朝日新聞社杯競輪祭

吉田拓矢/ SS 107期 茨城

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HERO STORY

“吉田兄弟”の先陣を切って初の大舞台へ

水泳でHEROを目指した

“たくや”少年が最初にのめり込んだのは、水泳だった。ジュニアオリンピック水泳大会に出場したが、メドレーリレー2位、フリーリレー2位。「HERO」にはなれなかった。やがて水泳が楽しくなくなり、他の道を探している中で身近にあったのが、競輪だった。父の吉田哲也氏(51期)、叔父の吉田伸二氏(54期)は元競輪選手。自分も競輪選手になると決め、部員の9割が競輪選手を目指すと言われている茨城県立取手第一高等学校の自転車部へ入る。

強力な同期の存在

水泳に負けず劣らず楽しかった自転車競技。2013年、全国高等学校選抜自転車競技大会のポイントレース(24km)で優勝した。ジュニアナショナルチームに所属したが、世界戦のメンバーには選出されず。このときに大学進学も自転車競技もやめて、競輪一本で行こうと決めたのである。2014年、日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)へ入校。男子生徒では11人目となるゴールデンキャップ(記録会最高位)を獲得。2015年、在校競走成績6位で卒業した。同年7月1日、弥彦競輪場でデビュー初勝利。8月にA級2班へ特別昇班。デビューから13連勝し、このまま一気にS級へ駆け上がると期待されながら、同年9月の立川でつまづく。しかしその後は完全優勝を繰り返し、10月にS級2班へと特別昇級を果たした。新山響平もいる107期で最初のS級特昇。翌2016年1月に静岡競輪場でS級初優勝。同年4月には同期の新山がルーキーチャンピオンレースで優勝している。6月、吉田は高松宮記念杯競輪で初めてのG1出場。107期では一番乗りだった。一方、新山は7月に函館記念で優勝し、G3優勝最速記録を更新する。さらに新山は10月の寛仁親王牌でG1に初出場し、11月の競輪祭では107期初の決勝進出を果たす。翌2017年、吉田も6月の高松宮記念杯競輪で初のG1決勝進出。2018年、新山が100勝達成。2019年、吉田が100勝達成。2020年12月、吉田が佐世保記念でG3初優勝したとき、2着は新山だった。そして迎えた、今年の競輪祭(G1)決勝。最後の最後で差し切った相手は、新山だった。

初の大舞台へ

ここまでの歴史を見ると「同期ライバル対決を制した」と囃し立てたくなるが、吉田本人は選手全員がライバルだと言う。ライバルとはお互いを高め合える存在。そういった意味では新山響平然り、地元の大先輩で憧れの存在である武田豊樹然り、グランプリで共に走れることになった地元地区の平原康多や宿口陽一然り、追って競輪選手となった弟の吉田昌司(111期)や吉田有希(119期)然り。選手すべてがライバルだ。中でも競輪一家“吉田家”の兄弟である2人の存在は、特に己を高めてくれるはずだ。近い未来の競輪界を背負って立ち、茨城名物と呼ばれるであろう“吉田兄弟”。その先陣を切ってG1初優勝を果たし、初のグランプリ出場となった拓矢がライバルたちを押しのけて「HERO」となる。